OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

2011-01-01から1年間の記事一覧

冷たい熱帯魚(★★★★★)

2011/5/21鑑賞@桜坂劇場Cホール 「ねえ?僕らは子供が育てられるような大人になれるのかなあ?」(岡村靖幸「Boys」) 1995年に発覚した埼玉県愛犬家殺人事件を下敷きにした、園子温監督の映画。 この映画は、熱帯魚店を経営する気弱な男・社本(吹越満)…

スノーフレーク ★

どうしてこうなった・・・。 乱反射でも目についた、バストアップの切り返しの多用。「乱反射」はまだ他にもテクニックを用いていたので小津オマージュと取られかねないところもあった。 けれども、これを観て気づいた。ああ、単純に何も考えていないだけだ…

乱反射 ★★★★

後述するスノーフレークがあまりにもひどすぎて印象が悪くなっているわけだが・・・。 少なくともこれは誤魔化し切れていたと思います。8ミリを用いた演出は多少手あかがついた表現ではあるけれど・・・。 田舎道、ローカル線、バス停、旅館など、「真夏の思…

2011/8/15鑑賞@桜坂劇場 女優の桐谷美怜をフューチャーした谷口正晃監督作品。『乱反射』と『スノーフレーク』の2本からなる。

ロング・グッドバイ('73/ロバート・アルトマン)

2011/8/6鑑賞DVD レイモンド・チャンドラー原作『長いお別れ』を群像劇の名手ロバート・アルトマン監督が手掛けた1973年の映画。本来50年代を舞台にした原作を70年代に置き換えたほか、独自の解釈を細部に施しているも現在では「原作のフィリップ・マーロウ…

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン(★★★★☆)

2011/8/10@シネマQ サービス精神旺盛な人というのは、周りの要求に応えるために身を削っていく。 その状況はどんどんエスカレートしていくし、周りの要求はどんどん高くなっていく。 僕自身がそんな状況に疲れてしまっていた。段々、周りの人に荷物を押し…

パンズ・ラビリンス('06/ギレルモ・デル・トロ)

2011/8/4鑑賞 DVD ※ネタバレ含む リアルの世界だと現実に起こっていることと妄想の中で起こっていることには明確な違いがあるのだろか。 その二つの違いをあえて混同させるように描く映画も、もちろんある。 けれども、この「パンズ・ラビリンス」の仕掛けは…

ワラライフ!!(★☆☆☆☆)

2011/7/14鑑賞@桜坂劇場 或る意味話題作だったので観に行った。 木村祐一監督第2作。 市井の人々のささやかな幸福の瞬間を描いた作品ならば、私の好物であるはずなのに。 これは「シュアリー・サムデイ」みたく、形式的には面白くなりそうなのに中身がない…

シークレット・サンシャイン('07/イ・チャンドン)

2011/7/5鑑賞DVD これは「赦し」をめぐる物語だ。 僕はこの映画を観るちょっと前に、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』(’99)という映画を観た。 こちらも「赦し」がテーマとなっている。 私たちは普段の生活において、他者から迷惑を…

プリンセス・トヨトミ(★☆☆☆☆)

最近思うんだが、駄作であっても数をこなしてきているせいか、「ここをこう変えれば面白いのに」と頭の中で改変することができるようになってきてから、駄作を楽しむ余裕が出てきたように思う。 しかし、この映画に関しては腹が立って仕方なかった。 まずさ…

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(★☆☆☆☆)

2011/6/23鑑賞@シネマQ 物足りない映画とは思ったけれど、同じ日に『プリンセストヨトミ』を観たおかげで相対的に評価が上がった感じ。 前田敦子に関しては、美人かどうかの評価は保留するとして、この方は顔のパーツが真ん中よりになっているため、ふだん…

天使の恋('09/寒竹ゆり)

前半はよかった。前半だけなら★4つは行く ただ、後半がひどいねー。★1つレベル。 合わせて★2.5つ。 まずさ、佐々木希は、確実に僕たちの生活圏内には入って来ないタイプです。規格外というかなんというか。 それゆえに、設定自体も彼女に合わせてトンデ…

シャブ極道('96/細野辰興)

2011/6/23鑑賞VHS(『大阪極道戦争 白の暴力/大阪極道戦争 白のエクスタシー』に改題) 序盤で、僕が日本映画に求めるものとは「夏のぬけがら」感:すなわち、夏の太陽の下ではみ出し者たちがもがいている感じなのだと再認識した。 それに加えて、日本版『…

婚前特急(★★★★☆)

2011/6/18鑑賞@桜坂劇場 僕はこの映画にはオチはいらなかったんじゃないかと思う。 すごく期待していた。僕が日本映画に期待するものがここにあった。 だからこそ、『さんかく』のような日本映画特有の余韻を残す終わり方をしてほしかった。 キャスティング…

落語物語(★☆☆☆☆)

2011/6/6鑑賞@桜坂劇場Bホール まさかねえ、このタイトルでオチの無い話を延々と聞かされるとは思ってもみなかったですよ。 いやー、しかしあまりにもつまらない映画だと頭の中で「こうすればもっと面白くなるのに」と映画が完成されていくので逆に面白い…

シリアス・マン(★★★★★)

2011/6/10鑑賞@桜坂劇場 コーエン兄弟映画。 この映画の主人公は、自らの「善い」の基準が全て外部にある男です。 「serious」という言葉の2つの皮肉で対照的な使われ方を観てほしい。 この映画を観て思ったのは、自分が悪いと思っていなければ、どんなに…

さや侍(★★☆☆☆)

2011/6/12鑑賞@ミハマ7プレックス 刀を抜かない侍(野見さん)とその娘の交流。 まずさ、野見さんに主体がないんだよね。 だから、刀を抜かなくなったことも、三十日の業に挑むこともなし崩し的な感じがして、主体的にコミットメントしていったという気が…

手塚治虫のブッダ ―赤い砂漠よ、美しく!―(★★☆☆☆)

2011/6/12鑑賞@サザンプレックス 原作未読。歴史を題材にした話だからかもしれないけれど、やっぱりちょっと切り処がよくない気がした。 まず感じたのは、このお話は幾分奇妙な構造をとっていること。 チャプラという成りあがる戦士に関するエピソードに相…

マイ・バック・ページ−ある60年代の記録−/川本三郎(平凡社)

本当に苦しみながら描いたんだろうな、 或る意味で言い訳がましいともとられかねない文章からそんなことを感じた。やはりハイライトとなるのは、映画化された部分。映画では松山ケンイチ演じたKという存在は、あくまで偽物。 彼にコミットしていった過程が…

うた魂♪('08/田中誠)

2011/6/9鑑賞DVD まず、そもそもの問題点。 合唱というのはそもそも映像化が難しい。理由は、華やかさがないため。 序盤でかすみ(夏帆)が「鮭の産卵みたい」と言われてショックを受けますが・・・。 合唱やってた人間から言わせてもらうと、あの顔は合唱と…

アジャストメント(★★☆☆☆)

2011/5/31鑑賞@シネマQ マット・デイモン主演の『アジャストメント』を観てきました。ネタバレ注意。 最初は、欠点はあるけれどかわいい映画、中盤は、ある種の問いを発する映画、そしてラストは、欠点が悪い意味で炸裂している映画でした。 ・かわいい欠…

八日目の蝉(★★★★☆)

2011/5/1鑑賞@シネマQ この映画は、17年前に恵理菜を誘拐した女性・希和子(永作博美)のストーリーと、それから17年後の恵理菜(井上真央)がフリージャーナリストの千草と出会ってからのストーリーの二本柱となっていて、それが交互に語られる、日本映画…

クレイジー・ハート('10)

2011/4/23鑑賞DVD 出来は悪くないし、構成もしっかりしているし、劇中で使われるカントリーソングの数々も素晴らしい。 ジェフ・ブリッジズの演技による説得力もなかなか。 この映画の乾いた雰囲気はまさにアメリカ映画という感触でgood。 だが、許せないの…

洋菓子店コアンドル(★★★☆☆)

2011/3/19鑑賞@シネマパレット こういう「世間知らずで生意気な新入社員がその行動力で周りをひっかきまわすうちに現実の厳しさを知り、同時に周りもそれに動かされる」という作品は興味深く観ることができた。 ただ、やはり尺が足りないな。 連続ドラマと…

美しい星/三島由紀夫(新潮社)

三島由紀夫は全部読んだことは無いのですが、この作家の特徴として挙げられるのは、「美への執着(これは妄執といってもいいと思います)」 それと、特殊な感情を持った者の持つ離人感ですね。 三島由紀夫はそれらの説得性を出すために、これ以上ないほどの…

漫才ギャング(★★★☆☆)

2011/4/2鑑賞 @シネマQ ヤンキーもの作品は、サービス精神旺盛であるがゆえに、やはり作品としては(芸術的価値とはまた別のところで)面白いものになっているものが多いと感じた。 品川ヒロシの映画で最も気になるのは、副業監督の作品にしてはあまり「私…

アメリカの夜('74/フランソワ・トリュフォー)

2011/3/28鑑賞@シネマパレット2011/4/1鑑賞@シネマパレット 観た時ゲラの人がいたけれど、本質的にはコメディよね。 これを観て考えたのは、仕事について。 全体を通して、映画という大仕事をこなす姿が描かれる。 けれども、それを邪魔するのが恋愛。 こ…

ツーリスト(★☆☆☆☆)

2011/3/27鑑賞@シネマQ ※ネタバレ含む ツーリストはとにかくオチがひどい。 何がひどいって、それまで積み上げてきたものを台無しにしているからね。 とどめに、この監督さんが『善き人のためのソナタ』で築きあげた評価まで台無しにしたって言ってもいい…

パンツの穴 キラキラ星みつけた!('90/鎮西尚一)

@桜坂劇場Cホール(沖縄国際映画祭) 1980年代から続いてきた尾籠なネタ多めの青春映画シリーズの(現時点での)最終作。1990年公開。 多分この手の映画にまじめな評論は意味を成さない。 おそらくこの映画がカルト映画として名を残しているのは、唐突に挟…

A Crazy Little Thing Called Love(★★★★★)

2011/3/26鑑賞@桜坂劇場Aホール(沖縄国際映画祭) 「A Crazy Little Thing Called Love」はタイの青春映画。 今自分評価迷っています。ひょっとしてタイのROOKIESじゃないのかという疑念は残りますし。 早い話が、いびつではあるけれどもそこも魅力になっ…