OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

2007-01-01から1年間の記事一覧

キサラギ

この映画の宣伝文句では、ハートフル・ワンシチュエーション・サスペンスとか書かれてあって、どういうこっちゃと思っていた。 で、見て、なるほどと思ってしまった。 伏線が解消される瞬間の気持ちよさをこれ以上ないくらい味あわせてもらった。語るのが難…

図鑑に載ってない虫

三木聡監督、伊勢谷浩介、松尾スズキ、菊地凛子出演の映画。2007年公開。 笑いって共犯感覚なのだなと思った。これを見た日は映画の日(毎月1日)で席は満員に近かったのだけれど、笑いのポイントが各々で違ってるのがわかって面白かった。あるシーンで、三…

300(スリーハンドレッド)

スパルタ帝国の滅亡を描いたアクション映画。 うーん。苦手かもしれない。まずグロテスクな描写が受け付けないし、スパルタのためと繰り返す彼らの気持ちが理解できない。つくづく、自分には戦争ものは合わないのだなと思った。 評価は保留しときます。 300[…

アルゼンチンババア

よしもとばなな原作。堀北真希、役所広司、鈴木京香出演の作品。 個人的に、役所が茫然自失としながら夕暮れの草原を歩く場面、また、アルゼンチンババアの住まいの南米風内装などはよかった。役者さんでも岸部一徳や森下愛子はよかった。確かに全体を通して…

インファナル・アフェア 無間地獄

2003年公開の香港映画。とにかく、冒頭から見せ方がうまい。警察に潜入したスパイと、麻薬密輸組織に潜入した警察官の2人の対比した描き方がすばらしい。スクリーンで見れて幸福に思う。 とにかく見ろとしか言いようがないし、ストーリーについてアレコレ語…

日本橋ヨヲコ「少女ファイト」

日本橋ヨヲコが2006年よりイヴニングで連載中のバレー漫画。 名言。 創作を読んでいて、そのときの自分の状態を最もうまく言い表し、これからの指標になってくれるもの。 少々宗教がかった言い回しになるけど、ぼくはこの作品にちょっとだけ救われた。 名言…

久米田康治「さよなら絶望先生」

2005年より週刊少年マガジンで連載中の久米田康治のギャグ漫画。 連載開始当初は読んでて、しばらく読んでなかったのだけれども、最近久々に読んで、面白れえとおもった。 「かってに改蔵」後期と読み比べてみればわかるけれど、エンタメとして十分に面白い…

乙一「GOTH」

乙一の連作短編集。猟奇殺人などに興味を惹かれる傾向のある物静かな少女・森野夜と同じ傾向がありつつも普段は友人たちとも明るく接している物語の語り手「僕」が町内で起こる猟奇的な事件に巻き込まれるが・・。というもの。ミステリー要素が強い。ただ、…

谷崎潤一郎「春琴抄」

谷崎潤一郎の中編小説。内容は、盲目の琴の師範の女性と、その小間使いの男性との間の恋愛小説といったところだろうか。 はっきり言って読みづらいです。句読点が打たれていないところが多々あるし。ただ、これは古典に近づけるための努力なのだろうな。この…

夏目漱石「こころ」

教科書に載っていたので有名かもしれない夏目漱石の小説。正直、自分がこの作品を語るだけの語彙力や知識があるのかどうか自身はないのだけれど。 このお話って、ものすごく絶望的なところから始まっていると思う。「私」は、いわゆるニートだ。そして「先生…

コマンドー

アーノルド・シュワルツェネッガー主演の1986年公開のアクション映画。テレビ放送でだけど、初めて観た。 元々、アクション映画ってほとんど観なくて、でも観たら結構楽しめるんだよね。ただ、アクション映画って、あまり独りでは観たくないですね。空しくな…

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

吉田大八監督。2007年。出演は佐藤江梨子、佐津川愛美、永瀬正敏、永作博美など。カンヌ映画祭新人週間出品。 内容は、全編を通してブラックユーモアにあふれてて、だけどサトエリ演じる女優目指しているバカ女をとりまく日常は、結構痛い所ついてくるなと思…

異人たちとの夏

大林宣彦作品。1988年公開。出演は、風間杜夫、秋吉久美子、片岡鶴太郎、名取裕子など。 これ以降、大林作品の特色のひとつとなる、死者との交流をベースにした作品。 冒頭の場面では風間の部屋を映し、80年代当時の空気を映し出して、その後浅草を映したと…

ヌードの夜

石井隆監督映画。1993公開。出演は竹中直人、余貴美子、根津甚八、椎名拮平など。 石井隆の作品を観るのは初めて。脚本作品なら相米慎二の「ラブホテル」を観たけど。 この映画は怖い。東京の裏道をコマネズミのように生きる人々の間の愛憎劇を描いていて、…

台風倶楽部

TAIFUが来てるよ。TAIFU。 実家が沖縄で、先頭切って直撃したみたいだったから電話した。 それと、これは木曜日のことなのだが、 ぼくはその日西区へ映画を観に行っていた。石井隆監督の「ヌードの夜」。ユーモラスな台詞の掛け合いと、竹中直人&余貴美子の…

劇団ひとり「陰日向に咲く」

芸人、劇団ひとりの作家デビュー作。 あー、これで泣いたとか言っちゃったら底が知れたとか思われちゃうんだろうな。底知られついでに言うと、今まで活字本で泣いたことがあるのは、「東京タワー」と重松清のナイフとこれだけだ。 だけどさ。この作品の泣き…

100s「ALL!!!!!」

中村一義率いる100sのセカンドアルバム。2007年5月16日発売。 これは、パワーポップ作品ですね,日本人の日本人による日本人のための。土曜の朝にかかっていたらコーンフレーク食べてスケボーで駆け出していきそうな。特に前半。 中村一義時代の「笑顔」「主…

中島みゆき「みんな去ってしまった」

中島みゆきの2枚目のアルバム。1976年10月25日発売。 前半はロック。後半はみゆき節といった感じ。冒頭を飾る「雨が空を捨てる日は」は中島みゆき独特の弱者の視点が確立された名曲。「トラックに乗せて」「流浪の詩」「03時」「うそつきが好きよ」の親しみ…

ボルベール<帰郷>

ペドロ・アルモドバル監督の「ボルベール<帰郷>」を観てきた。アドモドバル監督の作品を観るのは初めてで、勝手にタイトルとカンヌだのでの受賞暦から、きっと文芸的な作品なんだろうな。アンゲロプロスみたいな、なんて決めてかかって美しい映像に二時間…

日本橋ヨヲコ「G戦場ヘヴンズドア」

現在イブニング誌で「少女ファイト」を連載している日本橋ヨヲコの作品。連載作としては3作目。2001年から2003年に掛けて連載。 なんだろ?実家帰ったときに1巻だけ昔買ってあって置いてあって、ふとした拍子に読んで、次の日に近くの本屋行って2巻と3巻買っ…

転校生〜さよならあなた〜

評論家というのはかわいそうな者かもしれない。無論、評論家といっても色々種類はあるだろうし、その評論方法も一様ではないだろう。でも、多くの作品を見ていくうちに、自身にとって良い作品の基準というのが生まれてきて、それにとらわれてしまううちに、…

舞妓Haaaan!!!

監督水田伸生と脚本家宮藤官九郎が「ぼくの魔法使い」(2003)以来タッグを組んだ作品。 クドカン作品の特徴として語られやすいのが「男子校的ノリ」だと思うんだけど、それだけじゃない部分もあるんだよな。「ぼくの魔法使い」にも「舞妓」にも共通している出…

死の棘

小栗康平監督。1990年公開。 この映画は怖い。松坂慶子が怖い。すべての台詞が怖いと思った。内容は、夫の浮気が原因で妻が発狂するといったものなのだけれども、肝腎の発狂するシーンなんて、どれほど怖いか・・・。 どこかで、棒読みというのはストー…

Kids Return

北野武監督。金子賢と安藤政信主演の映画。1996年公開。 最近同監督の「監督・ばんざい!」を観たのだけれど、その本編の始まる前にカンヌ用に作られた3分の短編映画「素晴らしき休日」にこの映画の映像が一部使われていた。 内容は、高校生の主人公二人が学…

ハッシュ!

別に戦争映画やメッセージ性の強い映画を否定するわけじゃない。でも、たいていの映画論評では、戦争だの在日だの問題意識を掲げる作品ばかりがこぞって高評価だ。 そういった映画って、もちろん出来のいいものもあるけど、たださあ、そういったことを絡めな…

大日本人

松本人志の第一本目監督映画。批評の批評になってしまいそうだけど感想をば。 まず、とりあえず日本に生きている人なら松本がどういう人かはわかっているわけで、その時点でこの映画を公平に批評することは不可能になります。多分、批判したと言うフランスの…

リリー・フランキー「ニホンのみなさんさようなら」

リリー・フランキーの映画エッセイ集。 僕は映画を観るときにこの本を参考にすることが多い。映画評論家ってどうしてああまで上から目線なのだろう。いろんなこと知ってますよ〜って知識をひけらかしたい欲がどうもちらほら見えるのだ。 リリーさんは、多少…

SENTIMENTAL BUS「草原と鉄屑」

「♪39度の」でおなじみのセンチメンタル・バスの1stアルバム。この後もう一枚アルバムを出して解散しています。 このアルバムは、いかにもJ-POPのアルバムらしくシングル曲3つが冒頭から立て続けに入っていて、それゆえに後半だれる気もするのだけれど、だけ…

ラブ&ポップ

「新世紀エヴァンゲリオン」で有名な庵野秀明の初実写監督作品。1998年公開。 内容はトパーズを手に入れるため援助交際する女子高生の一日を撮ったものです。ちなみに女子高生役は三輪明日美です。主人公の友達役で仲間由紀恵も出ています。 エヴァでおなじ…

柴崎友香「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」

「きょうのできごと」で著名な作家、柴崎友香の2001年発刊の中篇。 この作品を読んで感じたのは、まるで大学入りたてのような瑞々しさがあるなということでした。 別に主人公の置かれている状況は大学はいりたてでもなんでもないです。表題作の主人公は才能…